大日本人だよ!

SCENES-OF-TOWN2007-07-18



どうも。
久々の映画の感想文書きま〜す。

見てきましたよ!人志松本のすべらない・・・もとい、「大日本人
もう中身に触れますね。


松本人志演じる”獣”と闘う稼業の大日本人6代目「大佐藤大」。
まず大佐藤の情報を整理、紹介します。


・この男は結婚している
・この男は妻と別居している
・この男は一人娘がいる
・この男はおじいちゃん子である
・この男はおじいちゃん(4代目)の世話をしている
・この男は父親(5代目)が早くに死んでいる
・この男はいつも折り畳み傘を持ち歩いている
・この男は力うどんが好きである
・この男は乾燥ワカメが好きである
・この男は電気を浴びて大きくなる
・この男の家には野良猫が住み着いている
・この男は深夜ドキュメンタリー番組に密着取材されている



終始、ドキュメンタリータッチで話が進んでいきます。
インタビュアーの質問に答えるかたちでその男の生活、考え、状況が浮き彫りになってくる。

非常に哀愁があり、ところどころに松っちゃん独特のシュールかつ繊細なボケが組み込まれており
ゆったりしたテンポであるけどラストまで飽きることなく楽しめます。

内容は確かに松っちゃんの云う「ヒーローもの」でした。
正義のヒーローの日常とはこんなもの。しょせん正義のヒーローでも現実に生きている。
家族の問題に悩まされたり、国からお給料を貰っていたり。
マスコミに叩かれては一般人にはうざがられる。
いざ闘いになると強い敵には怯えて逃げ、酒に飲まれてくだをまく。
闘いがテレビで放送されても誰も見ていない深夜の10分間だけ。

ヒーローも人間。華やかな舞台(表)との普段の生活(裏)とのギャップがとても哀愁があってそこが笑える。

そういえば昔からごっつでヒーローの日常を見せる(垣間見る)コントをやってたよなと思い出した。
正義の味方が普段はドンクサイみたいな。


やっぱ松っちゃんの原点は「笑い」だなと。
映画になってもそのスタンスは変わらないということでしょうか。


ラスト15分ぐらいでドキュメンタリーからいきなり完全にコントになるんです。
”獣”との闘いのときにリアルなCGを使っていたのが着ぐるみになったり、風景がしょぼい発泡スチロールのセットになったり。
ウルトラマンのパロディーが登場したりと。
完全にごっつのコント。


松っちゃんはこのラスト15分がやりたくて映画を撮ったんじゃないかと思う。
けど俺個人は映画はテレビより高級なもので、明らかに区別するべきものだと思っているからラスト15分のコントにはがっかりした。
それまでが非常によかったぶん、ラストはそこにいかないでほしかった。
もっと違う落とし方をしてほしかった。いや、あえて落とさなくてもよかったのでは?とも思う。
そのくらいそれまでの流れがよかった。


けど松っちゃんはテレビ的コントをやりきった。
制作発表の時からずっと言っている「今まで見たことない映画」とは「映画でテレビ的コント」ということじゃないのかなと。
「映画はテレビに比べて高級なものじゃない」「映画人よ、あんまりあぐらをかいてんじゃねーぞ」という
「芸術」というだけですべてをよしとする映画界に対する警告にもとれました。


まあ本人はそんなつもりはないかもしれませんが。
やはり松本人志は天才でした。次の作品を期待しております。